• 銀座おとな塾 2 京唐紙と日本人の美意識

    by  • 2010年5月13日 • 銀座おとな塾レポート

    日 時:5月9日(日)13時~15時講座内容:第2回 「京唐紙と日本人の美意識」
          *京都・水田玉雲堂 の唐板 + 一保堂茶舗の京番茶
    講師:唐長十一代目当主 千田堅吉 と 奥様    → 唐長 公式サイト

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    こちらが今回の「京唐紙と日本人の美意識」のポスター。

    (時間が14:30となっていますが、実際は15:00までありましたあせる

    銀座おとな塾と和の学校とのコラボ企画「京都のこころを銀座で学ぶ」の第2回目ビックリマーク

    今回は50名くらいの参加者だったようです。

    ——————————————- はじめに ——————————————-

    まずは和の学校の吉田さんによる和の学校の説明。

    前回は濃い色のお着物でしたが、今回は5月らしいさわやかな色のお着物でした。
    (帯も素敵だったのですが、ちゃんと撮れてないですね…。あせる

    それから、和の学校と今回の講座でお話くださる唐長さんとの出会いについて話してくださいました。

    もともと唐長の当主であられる千田堅吉さんと、和の学校の発起人であった故伊住政和校長とが仲がよく、和の学校の設立当初からずっとご縁が続いているそうです。
    ちなみに、和の学校の会報の表紙は毎回、唐長さんの柄が使われております。音譜

    ——————————————- 第一部:千田先生による講座 ——————————————-

    千田先生の講座風景です。

    はじめに、千田先生ご自身の身の上話からスタートしました。
    今回の講師の千田堅吉さんは、なんと、もともと商社にお勤めのサラリーマンだったそうです。
    40年くらい前に、奥さんとサラリーマン時代に知り合われて結婚されたのですが、お父さんが唐紙作りをいったん止めて、京都市内から修学院の静かな場所に移り住むことなったそうです。
    その後しばらくしてから千田先生が11代目を継いで、京唐紙を復活なさったそうです。
    一度途絶えかけていたとは知りませんでした。
    創業1624年の京唐紙の技術と道具が消えてしまわなくて本当によかったです。合格

    講座を受講する方々には以下のような進行表が配られていました。

    わかりやすくまとめられていたので、以下、その進行表に沿ってレポートをお伝えします。

    【唐紙とは 唐紙の歴史】
    講座ではまず約10分のビデオを見ました。
    「美の京都遺産」という番組で、毎日放送制作でした。
    10年前くらいの番組だそうです。

    唐長の唐紙についてや、唐紙とは何かということが、とてもよくわかりました。
    (ちなみに公式サイトはあったのですが、過去の情報はアーカイブ化されていませんでした…残念あせる

    唐紙は、元は文字を書く紙として唐から輸入していましたが、足りなくなって京唐紙ができました。
    文字を映えさせる紙として珍重されていました。
    京唐紙専門店が、江戸時代末期は13軒あったそうですが、現在は唐長1軒のみとなりました。
    初代唐長は、嵯峨本の装丁に関わっていたそうです。
    書の紙から、だんだん室内装飾的なものに使われるようになりました。
    唐長の紙は、桂離宮や修学院離宮、二条城などに貼られています。
    なので、修理の際に再び貼り直すという作業も、唐長の重要な仕事の一つとなります。
    その際、色も当時のあざやかなものに戻すのだそうです。

    【唐紙に使う版木と文様】
    現在、版木は650枚残っています。
    そのほとんどが、江戸時代に作られたものですが、どれもいまだに使えます。
    現在3種類の版木が残っていて、江戸時代の版木は45cm×30cmです。
    時代が下がって明治時代になると、少し大きめの45cm×40cmというのと、大正昭和時代の90cm×40cmのような大判が出ました。
    大判が作られるようになったのは、大正になってから紙を作る技術が発達して、紙を大きく作れるようになったからだとのことでした。

    版木はすべて、柄が縦にも横にもつながるようになっています。
    そして、白地に青、ベージュ地に雲母など、柄の色を変化させることで、印象が全く変化します。
    そういった版木の文様のおかげで、唐紙は様々な場所で応用範囲が広く使用することができるのです。

    江戸の版木は今でも通用する素晴らしい文様がたくさんあります。
    でも、江戸の版木以外は柄が絵画的で普遍的な文様とはいえないものなのだそうです。

    以前は新作の柄を考えてみたり、木が欠けて版木を作り直そうとしたこともあるそうですが、江戸の版木にはかなわないという結論にいたったそうです。
    色や素材を変えることで今風にもなるし、多少欠けたものも味として、丁寧に使うようにしているそうです。

    【唐紙使用例】
    京都四条烏丸にある、COCON烏丸の入口に大きく唐長の図柄が使われています。

    私も以前入ったことがありますが、入口すぐに唐長の専門店が入っています。

    知らなかったのですが、こんなかわいらしい皿やストールまで売られているそうです。

    このお皿欲しい。音譜

    千田先生は唐長の当主になられて40年以上になられますが、ここ10年で、文様の面白さを再発見しているそうです。
    文様のルーツをたどると、別のアジアの国とつながったり、ヨーロッパとつながったり。

    中にはルイヴィトンのモノグラムととても似ている版木もありましたにひひ

    千田先生の子供たちも、ベーシックと新しさとの両輪を大事にしながら、それぞれ唐長の柄を使って新しいことにチャレンジしているそうです。
    ベーシックと新しさ。
    それは京都が持っている気質なようです。

    一見古風なようでいて、常に新しいものを取り入れている…
    新しいものを取り入れているようで、根っこには伝統が根付いている…

    唐長は、その京都の良さをすなおに受け継いで、無理せず新しいことにチャレンジしているといえます。

    斬新な使い方の例。
    こんな風に鮮やかな赤を使用すると、洋風の雰囲気にもぴったり合います。

    色を変えることで、全然雰囲気が変わるという例。

    そして!今回の講座に千田奥様が着ていらしたお着物が本当に本当に素敵でした!
    遠くから何度か隠れて撮ってみたもののちゃんと撮れなかったので、講座後に思い切ってお声掛けして撮らせていただきました。クラッカー

    ちなみに後ろに後ろ姿でいらっしゃるのが、千田先生です。

    あらためて写真を見直したら千田先生のアップ写真を撮り忘れており、千田奥様の写真ばかりたくさん撮っておりました。あせる

    最初に吉田さんに紹介していただいた際にお二人の写真を撮るべきでした。
    舞い上がってしまいまして…。大変失礼いたしました。

    iphoneカメラの変な露出加減のおかげで、柄がわかりやすく映っていました。
    実際の着物の色は下の方が近いです。

    一見濃い色の無地なようでいて、実は同系色の唐長の文様が入っているおかげで、味わい深い雰囲気の着物になっていました。

    帯も唐長の柄で、着物に合っていました。

    その他にも、帯締めや帯どめ、襦袢の色(濃い紫でした)もどれもぴったり決まっていて、本当に素敵でした。

    ちなみに着物が南蛮七宝、帯が牡丹唐草という名の柄です。
    西陣織とのコラボ着物だそうです。

    実際に購入できるのか、いくらするのかなどは怖くて聞けませんでした。汗

    買えても簡単には手を出せない金額だと思います。

    【唐紙制作道具と絵具】

    唐紙を作る手順はいたってシンプルで、以下のような感じですが、それが素直で自然で版木を傷めない方法なのです。

    1. まず、ふるいという道具に絵具を塗る
    2. ふるいに塗った絵具を版木にうつす
    3. 版木の上に和紙をのせる
    4. 手のひらでそっといたわるようになで、版木の色をうつす

    講座後に個人的に疑問に思って質問させていただいたのですが、色がうつった版木は、丁寧に何度か水で洗い流し、静かに乾かすそうです。
    江戸時代から伝わる木を水につけたりしたらそっくりかえったり割れちゃったりしないのかなと思ったのですが、そういうことにはならないそうです。
    このように、唐紙を作る際の使い方がシンプルで優しいので、版木が何百年も使えるのです。

    保管も、無造作に積み重ねて並べているようでも、ちゃんと使って適度に並べ替えられることによって良好な状態が保たれます。
    使うからかえって長持ちするのです。
    大事にしまっておくと逆に木が傷んでしまうのだそうです。

    唐紙の作り方はシンプルなので、誰にでもできるのか?というと、1枚目はできるとのことでした。
    ただ、3枚目、4枚目となるとふのりがペタペタにねばり、同じような仕上がりにするのは難しくなってくるのだそうです。
    どうするかというと、水を足すのですが、あまり足しすぎると薄くなってしまい、やはり同じ仕上がりにはならない。
    そこからが職人の熟練の技とのことでした。

    手の感覚が大事で、触ってわかるようになって、100枚でも200枚でも同じ仕上がりの唐紙が作れるようになるそうです。

    こちらは唐紙を制作する際に使用するお道具の数々。

    白いガーゼにくるまれた丸い道具が「ふるい」。
    道具としては室町時代からあったそうです。
    使いやすい今の形になったのは、江戸時代から。
    今はガーゼですが、昔はあらい布でした。

    写真のふるいは、先代が80年くらい前に曲げ物屋に作ってもらったそうです。

    光の当たり方によって花の色が変化する「雲母(きら)」 … 絵具にまぜて使うときらきらする

    「ふのり」 … 和紙に接着させるための海藻。

    それから「和紙」と、自然のものがさりげなく集まったものが「京唐紙」なのです。

    こちらは、唐長が選ぶ枯葉色20色。

    でも、実際工房で持っている色は、鮮やかな赤、青、黄の3色。この3色を混ぜて上のような複雑な色合いを作りだしています。
    それにより、根っこはすごく綺麗だけれども出来上がりはシックで落ち着いた色が作れ、唐長の唐紙の特徴である「派手そうで強そうな色をもってきても静か」な雰囲気がでるのだそうです。

    岩絵の具ではなく、土系の絵具、泥絵具を使っています。

    版木を使っているので洗い流せる必要があり、染料は使えないそうです。

    【唐紙文様のご紹介】
    唐紙の文様には、以下のように好みでわかれているものがあります。

    寺社好み … 大柄 。寺の空間が大きいので。
    茶方好み … 洗練された茶人の美意識が反映されている。

    講座では、前に京唐紙のきれいな柄がたくさん置かれていました。


    本当にきれいです!ラブラブ

    講座を聞いて、実物を拝見して、唐長の商品をもっと家に置きたくなりました。
    唐長の文様があるだけで部屋がぐっと洗練されそうです。

    金銭的に余裕がでたら、いつかは着物や二畳の茶室の壁紙などに手を出したいなと夢見てしまいましたラブラブ

    (ああ、まず二畳の茶室がなければ…あせる

    ——————————————- 第二部:ほっこりタイム ——————————————-

    講座の後には毎回恒例の「ほっこりタイム」。
    楽しいおやつと質疑応答の時間です。

    今回のほっこりタイムに出たおやつは、水田玉雲堂 の唐板 一保堂茶舗の京番茶でした。

    唐板の詳しい説明はこちら

    水田玉雲堂さんのすごいところは、創業から何百年間、この「唐板」のみを作っているところです目

    まあ、京都にはそういう「これだけ売ってます」みたいな店は結構ありますが…。すごいことです。

    いり番茶(京番茶)は私は初めて飲んだのだとは思うのですが、不思議と懐かしい気もしました。
    京都時代にどこかで飲んだかも?

    ただ、本当はお湯で煮出すのが正しい飲み方ですが、教室内では火が使えないということで、ポットのお湯を入れたため、本来の味とはちょっと違うとのことでした。
    実際はもうちょっとまろやかなのかもしれませんが、強烈にいぶされた、クセのある味でした。

    ところで、今回は唐紙だから唐板、だったのでしょうか?にひひ

    なんにしても、お茶もお菓子も大変おいしかったです。

    質疑応答タイムでは、講座を聞きにきている方々の疑問質問(三条サロンの話や着物の話、版木の話など)を、千田夫妻が丁寧に答えてくださいました。

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    来月の講座は6月13日(日) 「京都色歳時記」の予定です。
    また楽しくてためになるお話をレポートできればと思います。


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